
木の器を知る、自分でつくることに挑戦できる、木の器の世界に誘ってくれる一冊
陶磁器の器については、人気が高いこともあって、いろいろな書籍が出版されています。〇〇焼と呼ばれるようなやきものは、種類が豊富で独特の魅力があります。それに対して、木の器はメジャーとは言えず、木の器に関する書籍は決して多くはありません。そんな中で、今回ご紹介するのは、手づくりを前提とした木の器をテーマにした貴重な一冊です。
冒頭の「はじめに」の中で、本書の特徴が記されています。
- 木工作家や木漆工芸家が木でつくったもの
- 作り手の考え方がわかる
- 使う道具であるということ
- 読書のみなさんもつくってみる
これを見るだけでもワクワクしませんか?
優れた木工作家について知ることができますし、同時に作品も数多く掲載されているので、木の器の魅力と可能性を知ることができると思います。

手づくりする木の器: 使い心地のいい美しい形をさがす、けずる、つかう
作り手の考え方がわかる
本書の中心のコンテンツは、木工作家さんの作り手としてのものづくりの考え方の紹介です。紹介されている木工作家さんは31人。約300作品が収録されています。
木の器について、2ページか4ページの見開きで、作家さんへのインタビューを通じた作品の説明と、大小さまざまな写真によってビジュアルに紹介されています。
それぞれの記事では、木工作家さんがどういう思いでこのような器をつくったか、何を目指したのかといったつくり手として考え方、発想方法や思考のプロセス、作り手の思い入れなどが紹介されています。
木の器自体の紹介にとどまらず、その背後にある作家さんの考えや思いを通じて、より深く木の器の世界を理解することができます。
木の器の大きさ、樹種の選び方、仕上げ、ディテールの処理など、作家さんが使う人の気持ちや使い勝手を考えて、工夫していることがよく分かります。
木の器に乗せるお料理によって、その表情がより魅力的に見える。そんな木の器の魅力も知ることができます。
木の器の可能性を知ることができる
紹介されているのは、皿(平皿、角皿、豆皿…)、器、椀、盛皿、鉢、サラダボウル、漆の器、子ども用の器とスプーン、盆、トレー、カップ、片口、木のキャップ、鍋敷き、花器、壺などと多岐にわたります。
同じデザインであっても、選んだ樹種によって木の表情は変わります。
同じ樹種であっても、使う場所や木目の方向によって木の表情が変わります。
ろくろを使う、ノミで削る、鉋を使う、薄い材を巻くなど、加工方法によって木の表情が変わります。
オイル仕上げ、漆仕上げ、蜜蝋ワックス仕上げ、ウレタン塗装仕上げなどなど、いろいろな仕上げの方法があります。
作家さんは、それぞれの考えでデザイン、樹種、加工方法、仕上げを選択しながら、オリジナルの魅力的な木の器をつくっていきます。
自分でつくってみることができる
私がこの本の最も素晴らしいと思うところは、自分でつくってみたい人のために、作家がつくり方を丁寧に教えてくれているところです。
何と10種類もの木の器のつくり方を、作家さんが紹介してくれるのだから驚きです。
必要な材料と道具、実際のつくり方が解説されています。つくり方の手順やプロセスは、実際に作家さんが制作している写真を見ながら知ることができます。写真とともにつくり方のコツや注意点などはキャプションが付いているので、迷うことなく作業ができると思います。
もちろん自分でつくる場合は、作家さんのように上手に出来るとは限りません。それでも、作家さんが教えてくれるやり方で、自分で実際につくることができるなんて素晴らしいと思いませんか?
まとめ
木の器についての情報があまり多くない中で、木工作家さんとその作品を知ることができる貴重な本です。陶芸やガラスの器をつくるのは、制作環境や材料の入手は少々ハードルが高いのですが、それに比べると木の器づくりは、比較的取り組みやすいように思います。
木の器を知る、自分でもつくることに挑戦できる、木の器の世界に誘ってくれる素敵な一冊です。

