『陶芸は生きがいになる』充実した人生を陶芸で築く!50歳からの挑戦
このブログをご覧になっているみなさんは、一度くらいは「陶芸をやってみたいなぁ」と思ったことがあるのではないでしょうか。正直に言うと、私は何度もそう思ったことがありました。今回は、そんなあなたの陶芸やってみたい病を再発させてしまいそうな、ゴキゲンでハッピーな本をご紹介したいと思います。
著者紹介
著者の林 寧彦さんは、もともとは大手広告代理店でCMプランナーとして活躍されていました。陶芸教室に通い始めてから陶芸に面白さにハマってしまい、「早期退職優遇制度」を活用して50歳で広告代理店を退社。本格的にプロの陶芸家の道に足を踏み入れました。本書では、そんな体験をもとに、陶芸の楽しさと、充実した人生を生きる上でのヒントになる内容になっています。
日本工芸会正会員
日本文藝家協会会員
陶葉会
千葉県美術協会など
主な陶芸関係の著作
「週末陶芸のすすめ」文春文庫
「陶芸家Hのできるまで」バジリコ
「週末陶芸家になろう」など
現在は、「津田沼 陶芸教室」を主宰されています。
本書の概要
本書の内容を簡単に紹介していきましょう。
章立ては次のようになっています。
1章 僕の陶芸入門
2章 陶芸は奥が深くておもしろい
3章 陶芸人生へようこそ!
4章 ふたたび陶芸教室の生徒になった
1章 僕の陶芸入門
39歳になって陶芸教室に通い始めた筆者が、電動ロクロに挑戦。いろいろな作陶作業に取り組み始めて、その面白さにハマっていき、遂には自前の道具を揃えて、ベランダでロクロ作業を始めることに。
そのプロセスの中で起きるハプニングや感動が生き生きと描写されていて、読んでいてワクワクしてしまいました。陶芸家でありながら、さすが広告代理店でCMプランナーのお仕事で鍛えられた文章力が光っています!
陶芸教室に通い続けるなかで、先生から千葉県が主催する展覧会「県展」に出展を勧められて、出展して見事に入選、芸教室の展覧会で自分の作品が売れる感動を味わったり、公募展に入選したりと、陶芸の腕が上がって成果が出る楽しさが伝わってきます。
そして、地方への転勤話が。。。これが本格的に陶芸にのめり込むきっかけになったようで。。。このあたりで私は「この後、どうなるんだろう?」という期待感が抑えられませんでした。
そして、何と本格的な電気窯を購入して、転勤先のマンションに設置することに!
普通の人はなかなかここまでは踏み込まないのではないかと思いますが、陶芸の魅力に取り憑かれてしまった筆者は、ここまでやってしまうのです!電気窯設置のための実際の課題や苦労も具体的に書かれているので、陶芸に本気で取り組みたい人には大いに参考になりそうです。
1章は、本書の中で最もボリュームがあって、最も面白く、読み応えがある章です。人生の生き方や、陶芸という面白い世界の魅力がダイレクトに伝わってきます。
2章 陶芸は奥が深くておもしろい
この章では、1章とは違って陶芸に関する面白いエピソードが紹介されています。陶芸にまつわるトリビアという感じの興味をそそられるテーマばかりで、読み物として楽しめます。
「陶芸」と「やきもの」は同じ?
ロクロが挽けなくても天才陶芸家、魯山人
陶芸家がおしげもなく作品を割る理由
日本の食器のレベルは、まちがいなく世界一
やきものの名前の由来は? 信楽、織部、志野
茶碗の銘/ 65歳で陶芸にハマったピカソ
釉薬の話――植物の灰は個性ゆたか
火星で粘土、発見さる!
ヨーロッパの磁器とボーンチャイナ
人類史上最高のやきもの
3章 陶芸人生へようこそ!
自分も陶芸をやりたいと思った人に向けて、陶芸を始めるにあたって具体的なアドバイスを集められた章になっています。
特に印象的だったのは、「失敗しない陶芸教室の選び方」についてのアドバイスです。
5つのポイントが挙げられていますが、意外だったのは3と5です。
- 先生の作品に憧れをもてること
- 先生と気が合うこと
- 釉薬を自分で掛けさせてくれること
- 焼成は酸化と還元の両方ができること
- 自宅か職場から近いこと、は必須ではない
釉薬を自分で掛けることができないケースが結構あるということですね。意識して陶芸教室を選んでおかないと、作品づくりが不完全燃焼になってしまう可能性があるということなのでしょう。5は考えようだと思いますが、通いやすさを条件にしてしまうと選択肢が狭まってしまうということでしょうか。とても有用なアドバイスだと思いました。
その他にも、陶芸初心者が知りたくなるようなアドバイスがいろいろありますよ。
おカネ持ちより「時間持ち」
絵心がないのですが、陶芸できますか?
使ってもらえるプレゼント
電動ロクロは、何ヵ月くらいで上手になりますか?
陶芸から新しい扉が次々にひらく
4章 ふたたび陶芸教室の生徒になった
4章では、陶芸教室を開こうと思い立った筆者が、教え方を学ぶために、ふたたび陶芸教室の生徒になった話が紹介されています。
もともとロクロに憧れて陶芸を始めたため、手びねりの経験が少なく、手びねりを改めて学ぼうという気持ちもあったようです。プロの陶芸家がまた陶芸教室で学び直すというのは、気持ち的にハードルが高そうですが、それを実行してしまう行動力には驚いてしまいました。
そして遂に、廃業した石材工場を改装して、家から徒歩20分のところに陶芸教室をスタートさせることに。筆者の思い切りと夢を実現する行動力には脱帽です(^^)
巻末の「付録 押さえておきたい9のツボ!」では、陶芸初心者が知りたいことに関して役にたつ情報がまとめられています。
本書の魅力
本書の魅力は、何といっても好きなことをやっていくために自分の人生を選ぶという生き方、それから陶芸と言う奥が深い世界の魅力が紹介されている点です。
そういう意味では、大いに刺激を与えてくれるのは1章です。最も大事なことを最初に伝える、美味しいものから食べるというストレートな構成です。CMプランナーだった筆者らしい明快な考え方ですね。私も1章を読んでいるうちに、すっかり筆者の生き方に引き込まれてしまいました。こういうことって、想像してみることはあっても、実際に実行することは簡単ではありません。それを実際にやっていて、脱サラをして陶芸家として独り立ちするところまでやり遂げている、そんな生き様を知ることができる稀有な本だと思います。私も大いに勇気をもらいました。
陶芸でなくても、好きなことに向けて行動する、新しいことに挑戦したいという方にとっては、背中を押してくれる本だと思います。
ご興味があれば、ぜひ手に取ってご覧になってください。
後悔はしないと思いますよ!
これからも、いろいろな本を紹介していきます。
それでは。。。