
6人のプロフェッショナルが器の楽しみ方を語る!『おいしい器のある暮らし』
呉須の藍色を中心に、青い色調が揃った器が並ぶ表紙が素敵な本。
器との関わりが深い人たちに、自分が好きな器について自由に語ってもらおうという試み。
仕事として器に関わっている方々が紹介してくれる、お気に入りの器のおはなし。
ギャラリーオーナー、アンティークバイヤー、スタイリスト、フラワースタイリスト、料理家など、6人の方々が思い思いに語っています。
それだけでもワクワク、楽しみです。

おいしい器のある暮らし(ずっと使い続けたい、私のお気に入り)
読みやすくうつくしい本
文章は余白をたっぷりとってレイアウトされていて、ゆったりとした気持ちで読むことができます。情報盛りだくさんで、テキストと写真が目いっぱい詰め込まれた器の本をよく見かけますが、そういう本とは一線を画しています。リラックスして心地よく読める本は、本当に貴重です。
写真はページ全体をのびやかに使っています。自然光で撮影されていて、空気感が伝わってくるナチュラルで心地よい写真ばかり。パラパラとページをめくって、写真を眺めているだけでも楽しめます。
フォトグラファーの馬場わかなさんは、「人と料理」というフォトエッセイを出されていて、こちらも是非チェックしてみたいと思っています。

「人と料理」馬場わかな著
新しい価値観を知る
登場するのは、それぞれの分野で高く評価されている方ばかり。
私が特に興味を持ったのは、伝説の家政婦として知られるタサン志麻さん。それ以外の方も、それぞれ器に対する深い思いがあって、読んでいてとても刺激を受けました。
タサン志麻 <家政婦 料理家> shimatassin_officielle
フランスのミシュランの星付きレストランで学んでいたときに、”食べることを楽しむ”文化に魅了されたそうなのですが、日本に戻って勤めたフレンチレストランではそんなアットホームな雰囲気が全くなかったそうです。それがきっかけで家庭に入ってお料理ができて食べることを共に楽しめる家政婦という仕事に魅力を感じたとか。
志麻さんにとって、器はあくまでも脇役で主役はお料理。大皿で取り分けて楽しんで食べるスタイルを大切にしているとのこと。そんなわけでセレクトされている器は素敵な大皿の器が多いのです。
引田かおり <ギャラリーオーナー>
ギャラリーオーナーである引田さんは、作家さんの器に向き合うことが多く、器は作家さんが生きてきた年月が現れるものと考えています。それに敬意を表しつつも使ってこそ器は生きるという考えで、日常の器として使っているそうです。
また、お盆を取り入れることによって、違った世界が見えてくるというお話もとても参考になりました。
植松良枝 <料理研究家> uematsuyoshie
旅好きの植松さんにとって、器は旅の記憶を呼び覚ます器なんだそうです。20歳から始まった器道楽のエピソードはとても面白くて刺激的。紹介されている器も国際色豊かでそれぞれの国の文化が感じられるものばかり。器選びやあしらいが料理を引き立てるという料理研究家ならではの考え方もとても参考になりました。
平井かずみ <フラワースタイリスト> hiraikazumi
「暮らしに花を」というお花の日常化の提案をしている平井さん。「水さえ張れば、それは花器」という考え方で、器を花器に見立てています。そういう視点で器を見ると、器が違って見えてくることに気付かされました。
山端朱美 <アンティークバイヤー> souvenirdeparis
アンティークバイヤーとして商品を買い付け、ショップで販売している山端さんには熱心なファンがたくさん付いています。紹介されているカフェオレボウルは、ヒビや欠けがあったり、白いプレートにはヒビやニュウがあったりするのですが、それはアンティークやヴィンテージでは当たり前のこと。器に残った染みや欠けは、その価値を損なうものではなく、いっそうの愛おしさになるそうです。
池永陽子 <スタイリスト>
仕事柄、職業意識だけで器を手に取るのかと思うと、池永さんはそんなことよりも、自分の好き嫌いで決めていくそうです。最近のブームは、”国籍不明シリーズ”と名付けた大胆な柄や構図の器。色とりど個性的な器が紹介されています。基本的には、気に入っているものを自由に選ぶというスタンス。自分というフィルターを通すと、一歩引いて客観的に眺めると不思議と統一感があるそうです。私も大いに共感しました。
ちなみに表紙を飾っていた青い器たちは池永さんのセレクション。さすがですね。
器のプロのとっておき情報
6人のプロフェッショナルのおはなしの間には、5つのコラムが挿入されていて、器をより深く知るためのヒントになりそうなものばかり。
①いつもの飯碗・汁椀
②愛用のティータイムグッズ
③普通使いのコップ・グラス
④卓上で使える鍋
⑤お気に入りのカトラリー・箸
そのほかに、「器のいろいろな使い方」、「私の収納法」、「お手入れについて」といったテーマで、プロフェッショナルたちのアドバイスが紹介されています。
巻末には、「私のすきな器のお店/私のお店」ということで、とっておきのお店の情報が収録されています。これはとても嬉しい情報でした。チャンスがあればぜひ訪れてみたいお店ばかり。
シンプルなつくりですが、眺めていても楽しく、充実した内容の一冊でした。新しい刺激がほしいときにぴったりの本だと思います。書店で一度手に取ってみてはいかがでしょうか。
それでは。。。

