日本の民藝文化の拠点!日本民藝館 特別展「仏教美学 柳宗悦が見届けたもの」


日本の民藝文化の拠点!日本民藝館 特別展「仏教美学 柳宗悦が見届けたもの」


日本民藝館で開催されている「仏教美学 柳宗悦が見届けたもの」展を見てきました。もちろん、この特別展への興味もあるのですが、月に数回しか公開されない西館公開日に合わせて行ってきました。その時の様子をご紹介します。

日本民藝館について

日本民藝館は、民藝がお好きな方ならよくご存知の有名な施設です。宗教哲学者、美術研究家で「民藝」の概念を唱えた柳宗悦によって、1936年に創設されました。柳宗悦の審美眼で蒐集された、約17000点の工芸品が所蔵されています。

日本民芸館は、「民藝」という美の概念の普及と「美の生活化」を目指す民藝運動の拠点として生まれ、「民藝品の蒐集や保管」「民藝に関する調査研究」「民藝思想の普及」「展覧会」を主たる仕事として活動をしています。

アクセス


所在地は、東京都目黒区駒場で、京王井の頭線の「駒場東大前駅」西口から徒歩7分、小田急線「東北沢駅」東口から徒歩15分となっています。近所には東京大学駒場キャンパスや東京大学先端科学技術研究センターがあり、日本近代文学館や旧前田公爵邸がある駒場公園に隣接しています。大学施設のほか、閑静な住宅が並ぶ落ち着いた心地よい環境です。

日本民藝館の周辺MAP

「駒場東大前駅」から落ち着いた住宅街の中を歩いていくと、道路が右に折れて右側に日本民藝館本館、道路を挟んで向かいに西館があります。

建物について

日本民藝館の施設は、本館と西館があります。本館は1936年に竣工した建物で、柳宗悦が中心となって設計されました。シンメトリーの風格ある建物配置で、堂々たる姿を見せています。瓦屋根や外壁の漆喰仕上げなど、全体的に和風の意匠となっていますが、洋風の要素も取り入れられています。通常の展示は、本館と本館に接続した新館で行われます。

西館は旧柳宗悦邸で、道路に面して長屋門が隣接する重厚な意匠の近代和風建築です。月に数回公開されています。

本館(附属塀を含む)、西館旧柳宗悦邸主屋、西館長屋門(附属塀を含む)の3棟は、2021年に東京都指定有形文化財に指定されました。

日本民藝館 西館と本館。閑静な住宅街の中にあります

日本民藝館公式サイト

特別展「仏教美学 柳宗悦が見届けたもの」

エントランス横のポスター。小さな切符売り場の窓をさり気なく隠しています

開催概要

会期:2025年1月12日(日)ー 3月20日(木・祝)
開催時間:10:00-17:00(入場は16:30まで)
休館日:月曜日

入館料:一般 1200円(1000円)
大高生 700円(600円)
中小生 200円(150円) ※( )は20名以上の団体

展示概要

「仏教美学」フライヤー表紙
仏教美学」フライヤー裏面

特別展

基本的に館内撮影禁止だったので、写真や動画でのご紹介ができません。それぞれの展示に関する感想を簡単に記しておきたいと思います。

本館平面図

特集展示1 仏教美学関連資料(本館2階第1室)

仏教美学に関する柳宗悦の著作、手書き原稿、揮毫した書などの資料が展示されていました。手書き原稿は、鉛筆書きで力強い筆跡が印象的でした。仏教美学四部作と言われる著作も展示されていました。

特集展示2 弥陀の造形(本館2階題3室)

柳宗悦が蒐集して、日本民藝館に所蔵した弥陀の造形が紹介されていました。

大展示室

壁付きケースのみ写真撮影可能だったので、撮影した写真を掲載します。この展示室は、1982年に建て替えられた新館部分にあって、大きめの彫刻などの民藝品が多数展示されていました。天井が高く、トップライトからの光で過ごしやすい空間です。

大展示室 右側の壁付きケースのみ撮影可
壁付きケース内の展示
ポスターに掲載されていた彫刻も、壁付きケース内にありました。思ったより小さかったです

併設展 民藝運動の作家たち

併設展

濱田庄司(1階第1室)

近代陶芸の巨匠と言われる濱田庄司の作品が展示されていました。濱田庄司らしい、重厚で素朴なうつわ、大胆な文様など迫力満点の作品が多かったです。また小さめのうつわを集めた展示もあって、濱田庄司の繊細な面も垣間見ることができました。

バーナード・リーチと欧米の工芸家(1階第2室)

バーナード・リーチのスリップウェアや、楽焼兎文皿、ガレナ釉の作品などよく知られた作品に出会えました。またその他の欧米作家の作品も展示されていました。

織と染(1階第3室)

民藝運動の中で活躍した、染織家の作品が展示されていました。

河井寛次郎(2階第2室)

民藝運動の中心的な陶芸家だった河井寛次郎の作品展示です。色鮮やかな釉薬、独特の文様などの特徴的な作品、詞が描かれた陶板が印象的でした。

絵画と書物(2階題4室)

さまざまな作家の絵画や書物などの展示がされていました。

各所に設置された飾り棚の展示

展示室以外にも、玄関吹き抜け廻り、各所の回廊に設置された飾り棚などに、収蔵品がたくさん展示されていました。世界各地の民藝品、朝鮮の古いうつわ、日本各地のヴィンテージの民藝品、土器、彫刻、カトラリー、祭器、文房具、日用品、酒瓶、絵画、壁画、着物、痩身部、化粧道具などなど。

企画展示以外も見どころ満載で楽しい時間を過ごせました。

ミュージアムショップも、柳宗悦関係の書籍や雑誌「民藝」のバックナンバー、ポストカード、スリップウェアのうつわなどを販売していました。

西館(旧柳宗悦邸)

西館は、柳宗悦が72歳で亡くなるまで、宗悦が生活していた建物です。

本館をいったん出て、通りの向かい側にある西館に入ります。
堂々たる構えの長屋門のエントランスを入ると、すぐ右の部屋に入ると鈴木大拙の秘書だった岡村美穂子氏のインタビューの動画を上映していました。室内も純然たる日本家屋で、シンプルそのもの。とても綺麗に維持管理されていました。その他に食堂、2階の書斎、客間などを見ることができます。特に書斎は、柳宗悦がいろいろ考えを巡らせた場所なので、感慨深いものがありました。思ったより質素でシンプルな空間でした。

西館平面図

西館は、本館を出て通りの向かい側にあります

まとめ

「民藝」運動の中心的人物だった柳宗悦の意思を継いで、亡くなった後も日本民藝館が着実に運営されて、充実した展示が行われています。素晴らしいことですね。

建物も東京都指定有形文化財に指定されて、きちんと保護されていますし、民藝の聖地がしっかりと息づいていることを嬉しく思いました。

この日は、西館の公開日だったこともあり、10時のオープンの時間には、平日にも関わらず、20人ほどの方が開館時間前に開館を待っていて、民藝がお好きな人がかなりいらっしゃるんだなと感じました。

今年度は、棟方志功展I~III、日本民藝館展、抽象美と柳宗悦などの展示が予定されています。また、それぞれの展示を見に来たいと思っています。

日本民藝館 年間予定 2025 -2026年

今回の特別展「仏教美学 柳宗悦が見届けたもの」は、あと1ヶ月の開催ですが、見どころがたくさんあるので、ご興味があれば是非お越しください。オススメです!

それでは。。。


当ブログの関連する投稿のリンクを掲載しておきます。ご興味があればぜひご覧ください。

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