【30代向け】『日本民藝館手帖』を読んで、民藝への理解が深まった件


【30代向け】『日本民藝館手帖』を読んで、民藝への理解が深まった件

「民藝」って何だろう?

私は「民藝」と呼ばれるジャンルのものがとても好きです。

でも「民藝」という言葉は、分かるようで分からないイメージがありませんか?

いざ「民藝」って何?と問われると、何が答えなのか正しく答える自信がありません。日常に使っている庶民の生活に根ざした作品や道具といったイメージはありますが、その定義は案外むずかしい。「民藝」という考え方は、どこから始まったのでしょうか?

「民藝」を知る最初の一歩

「民藝」という言葉は、実は造語です。柳宗悦が中心となって生み出された言葉です。民藝運動の活動母体となったのが、柳宗悦が中心となって発足した「日本民藝協会」。その活動拠点として、1936年(昭和11年)に東京・駒場に開設されたのが「日本民藝館」なのです。

そういう意味で「日本民藝館」は「民藝」を知る上で、最初の一歩に相応しい場所だと思います。

『日本民藝館手帖』は、「日本民藝館」を設立した柳宗悦の思想、収蔵されている名品の数々、建物の紹介、日本民藝館に関する資料、日本民藝館略年表などが収録されています。写真などのビジュアル資料を中心に、簡潔で分かり易く「民藝」が理解できる本になっています。それと同時に「日本民藝館」のガイドブックでもあるので「日本民藝館」に一度足を運びたくなることでしょう。

日本民藝館

Bitly

現代における「民藝」を考える

「民藝」という言葉が生まれたのは、1936年(昭和11年)。かれこれ90年近く前のことです。

最近は、社会の変化やIT技術の急激な進化によって、あらゆる価値観が根底から覆されてきています。このところ続いている猛暑でも実感しますが、人類の無計画な地球資源の消費によって、地球環境が激変してしまいました。

CO2排出量の削減が急務になって、クルマはエンジン車から、EVへの変化の途上にあります。以前は写真といえば、フィルムカメラで撮影して、化学的処理によって現像・プリントして楽しんだものですが、スマホやデジタルカメラで撮影してプリントせずに、データ自体をネットやSNSで共有することが当たり前になったり。あらゆることが変わってきています。

一方で、全てがデジタル化されて、全てがそれで本当にいいのかというとそうでもない気がします。デジタルの便利さを享受しながらも、アナログの良さも見直されていく、デジタル一辺倒ではない多様な価値観と楽しみ方が広がっていくのではないでしょうか?

先日も、リコーイメージングから21年ぶりにフィルムカメラの新モデルが発表されましたが、アナログの良さを再評価して、新しい価値観として、その魅力を時代に合った形で受け入れていく動きは、これからも続くといいなと思っています。

21年振りのフィルムカメラ新モデル「PENTAX 17」の発売に思うこと

日常生活で使う製品や道具が、全て大量生産の安くてシンプルなデザインのものになっていく社会って、ちょっと寂しいですよね。社会や生活に潤いがなくなってしまうというか・・・

100均や安売り店で売っているモノは、安くてお財布にやさしくていいとは思います。でも、少しお値段は張るけれど、独特の味わいがあって、作り手のコダワリが感じられる、ずっと使いたいなと思わせるクオリティーが感じられるモノ、そんなモノも同時に楽しめる時代になるといいですね。

そういう意味で、究極のアナログとも言える「民藝」は、今までの「民藝」の見方から一歩進んで、新しいコンテンツや新しい価値観として、見直されつつあると感じています。これからの「民藝」は、柳宗悦の時代とはまた違った新しい「民藝」になっていくのではないでしょうか。

そういう意味でも、いまの時代に「民藝」の原点である「日本民藝館」は、訪れる価値があるホットスポットなのかも知れません。

Bitly

目次

– 日本民藝館の使命 柳宗悦

一章 思想に触れる – 柳宗悦と日本民藝館

– 柳宗悦と日本民藝館
– 柳宗悦の「心偈」今 見ヨ イツ 見ルモ
– 柳宗悦の「民藝」の思想
– 柳宗悦の言葉1 じかに物を見ることが直観である

二章 蔵品を見る – 名品案内

– 柳宗悦の蒐集
– 日本民藝館名品案内
  朝鮮
  日本
  沖縄
  アイヌ・台湾
  中国
  西洋
  同人作家
– 柳宗悦の言葉2 美しさとは無礙である時に極まる

小特集 柳宗理に訊く
  柳宗理が語る 父・柳宗悦の素顔
  柳宗理の言葉より

– 柳宗悦の言葉3 民藝館の使命は美の標準の提示にある

三章 空間を観じる – 本館と西館

– 日本民藝館本館 たてもの案内
  推薦工芸品売店
– 柳宗悦の言葉4 工芸は現実に交われば交わるほど美しい
– 日本民藝館西館(旧柳宗悦邸) たてもの案内
  日本民藝館展

四章 資料を繙く –日本民藝館資料集

– 柳宗悦の初版本と雑誌「工藝」
– 日本民藝協会と雑誌「民藝」

– 日本民藝館略年表

– 掲載作品一覧
– 現在入手可能な柳宗悦の著作

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