私のノート遍歴『かつて愛用していた素敵なノートたちをご紹介します!』


私のノート遍歴『かつて愛用していた素敵なノートたちをご紹介します!』

デザインスタディと筆記用具

デザインを仕事にしていた私は、もともと筆記用具に対する思い入れがありました。

デザインを検討するときのコンセプトづくり。いろいろな考えを言葉に落とし込んでみます。ノートに言葉として書いてみると、その考えが面白いのかそうでないのかが、よく分かります。頭の中で良さそうだと思っていても、思ったほど面白くないことがよくあります。実際に文字にして冷静になって眺めてみて、はじめて客観的に判断ができるのです。イマイチだったら、再び頭でいろいろ考えてみて、文字にして眺めてみる。そんな作業を繰り返すことによって、強度があるコンセプトが姿を見せてきます。

コンセプトを形に落とし込む作業もトライアンドエラーの連続です。抽象的なコンセプトがいくら面白そうであっても、デザインとして魅力がないことはよくあります。実際のデザインとしてノートにスケッチしてみて、このアイデアは最終的にものになるだろうか、カタチになるだろうかと可能性を探ってみる。そして、次第に納得できるデザインが見えてくる感じです。

そんなことをやっている中で、ノートはいつも自分の壁打ち相手でした。自分のアイデアは本当に面白いのか、本当に優れているのか、客観的に目の前に見せてくれる、ノートはそんな存在でした。

万年筆とノート

自分にとっては、こういうデザインの検討プロセスは真剣勝負の場で、描いみて消すような行為は、その純粋さを損なうような気がしていました。最初は鉛筆で描いては消していたスケッチは、ボールペンや万年筆を使うようになっていきました。ボールペンは早く描けるし、インクはすぐに乾燥して、エンドレスに描ける。でもインクの溜まりができて手で擦ってしまったり、太さが一定で味わいがあまり感じられない点が好きになれませんでした。

次に、いろいろな万年筆を試してみると、自分の手の動きにしっくりくる万年筆に出会ったりしました。万年筆は、字を書いたり絵を描いたりするフィーリングが千差万別で、インクも自由に選ぶことができます。そんな万年筆にだんだん魅せられていきました。  

一生に描ける文字やスケッチはおのずと限りがあります。折角なら、快適で満足感が感じられる筆記用具を使いたいと思っているうちに、万年筆が定番になっていきました。

万年筆を使うことは、簡単なことのようですが、いろいろと面倒なことがあります。万年筆にはインクフローやインク滲みの問題があって、ノートの紙質と万年筆、万年筆のインクとの相性が良いことが必要になってきます。ある程度きちんとメンテナンスしないとインクが詰まってしまうリスクもあります。

インクフローとは、「インクの流れやすさ」「インクの供給量」のことですが、万年筆のインクフロー特性とノートの紙質のバランスがとても大切になります。この組み合わせが適切でないと快適な書き味が得られないのです。

インク滲みの問題は、もっと深刻です。インク滲みが酷いと、自分が書きたいと思っている文字よりもインクが紙の上で滲んで広がってしまって、ぼやけた線になってしまいます。紙によっては、滲みが酷いためにインクが紙の裏面にまで染み出してしまい、紙の裏面からインクが見えてしまいます。そうなるとページの裏面は使えなくなってしまいます。

いろいろなノートで万年筆を使ってみると、万年筆で心地よいインクフローを実現しつつ、インク滲みやインク抜けがないノートがとても少ないということに気が付きました。紙の表面がツルツルで表面が硬めのノートはインク抜けしにくいけれど書き味は今ひとつだったり、書き味が良い紙はインク抜けしやすかったり、なかなかバランスが良いノートは少ないのです。

その頃は、いつも万年筆とノートのベストマッチを探していたような気がします。

かつて愛用した定番ノートたち

DELFONICS ダイアリー

今までいろいろなノートに出会いました。全てご紹介するのは大変なので、定番としてある程度の期間使い込んだものだけをご紹介したいと思います。

まず最初に思い出すのは、今や日本を代表するステーショナリーメーカーとなったDELFONICSのダイアリーです。1998年頃から2003年頃まで使っていました。B6のコンパクトサイズで、ファブリックの表紙。デザインも素敵なので愛用していました。同じサイズのノートも一緒に使っていた時期もありました。

愛用していたDELFONICSのダイアリー。B6のコンパクトサイズ、フォーマットも優れていて使いやすかったです。表紙がキャンバス地だったので汚れやすく、標準でビニルカバーが付属していました
表紙はキャンバス地で汚れやすいのが難点でした。手触りは素晴らしいのですが、経年変化でかなり劣化してしまっています

久しぶりにDELFONICSの公式HPを見たら、実にたくさんのデザインの商品があって、流れた年月の長さを感じました。もうすっかり定番のステーショナリーメーカーですね。

先日久しぶりにDELFONICSのリングノートを使ってみました。素晴らしいクオリティは相変わらずで、昨今の人気の高さも納得です。

DELFONICSの『Rollbahn』ブランドのリングノート。巳年なので蛇の表紙をセレクト。いいノートです

DELFONICS公式ホームページ

【デルフォニックス手帳 2026年版/2025年10月始まり】B6 リネン スケジュール帳 ウィークリー(シャンブレーグレー)

【デルフォニックス手帳 2026年版/2025年10月始まり】【直営店限定】A6 エリオット スケジュール帳 マンスリー(ブルー)

【デルフォニックス手帳 2026年版/2025年10月始まり】ロルバーンダイアリー WARMGRAY TAIL L スケジュール帳 マンスリー(グレージュ)

マルマン SKETCHER’S BOOK

次に愛用したのは、マルマンのスケッチャーズノートというノートです。デザインのスケッチを描くときに、ペラペラの紙だと万年筆のインクが抜けてしまうので、万年筆も色鉛筆も水彩絵の具もボールペンもOKなスケッチャーズノートに出会ったときは本当に感動しました。紙はかなり厚めの画用紙のような紙で、一冊のページ数は54枚と少なめでしたが、クオリティを考えると満足できるノートでした。

廃版となった『SKETCHER’S BOOK』貴重な未使用品
『SKETCHER’S BOOK』裏面

表紙はタフな作りのシンプルな黒のハードカバー。持ち歩くときもカチッとしていて気分がよかった。ノートって持ち歩くことが多いと、手で触っているところが汚れてきてしまうのですが、このノートは全く問題なし。本当に頼れる仲間って感じでした。

『SKETCHER’S BOOK』ハードカバーの表紙がお気に入り。タフで汚れにくく、傷つきにくかった
『SKETCHER’S BOOK』画用紙のような紙質で、万年筆もボールペンも水彩もOK。A4サイズがスケッチに最適でした
『SKETCHER’S BOOK』この風格がある姿が好きでした。外国メーカーのノート以上のクオリティー

そんな私にとって完璧だったスケッチャーズブックですが、ある日突然廃版になってしまうのです。本当にショックでした。ショックで1ヶ月以上放心状態になってしまったほど。その後、マルマンから後継のスケッチブックが出ましたが、ノートというよりいかにもスケッチブックっぽい表紙デザインで、私にとっては全く違うノートにしか思えませんでした。。ストックを探しては10冊ほど確保して使っていましたが、やがて使い切ってしまいました。記念に未使用のものを2冊だけ大切に保管しています。

廃版になった理由はよく分かりませんが、推測するに製造コストが高いとか、スケッチブックの割には値段が高くて売れなかったとか、そんな理由じゃないかと想像しています。

マルマンさん、スケッチャーズブックにも熱烈なファンがいたんですよ~、もう遅いけど(^^)

マルマン公式ホームページ

マルマン(maruman) スケッチブック 図案シリーズ A4 画用紙 S131

マルマン スケッチブック A4 セクションクロッキーブック 白クロッキー紙 10mm方眼罫 ブラック 60枚 S237

まとめ

ノートや筆記用具について書き始めると止まらなくなってしまうので、今回はひとまずここまでにしておきます。次回は私にとっての最高のノートをご紹介します。

お楽しみに!

それでは。。。


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