骨董・アンティーク好きの方必見!『知識ゼロからの骨董・アンティーク入門』岩崎紘昌


骨董・アンティーク好きの方必見!『知識ゼロからの骨董・アンティーク入門』岩崎紘昌

筆者について

筆者は、西洋アンティーク評論家で、東京都内でアンティークショップ「アイ・フェローズ」を経営しています。

学生時代に、ヨーロッパ・中近東など世界75カ国を旅したことがきっかけで、アンティークの魅力に取りつかれて、1971年に西洋アンティークの輸入販売を始めました。本書にも書かれていますが、その頃は西洋アンティークを輸入している人はほとんどいなかったということなので、西洋アンティーク輸入のパイオニアといってもいい方だと思います。

その後、お馴染みのテレビ番組「開運!なんでも鑑定団」のレギュラー鑑定士を務めました。この番組は1994年にスタートしましたが、岩崎さんは、放送開始当初から出演していたようです。

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概要と特徴

本書は、西洋アンティーク販売の第一人者である筆者が、骨董・アンティークに興味がある人、これから骨董やアンティークを集めたい人、お店をやってみたいという人に向けて書かれています。

単なる骨董・アンティークの解説にとどまらず、豊かな経験にもとづいた知見を分かりやすく紹介してくれているので、読んでいても楽しく、とても勉強になることが満載です。

こういうノウハウを本を通して知ることができるのは、とてもありがたいです。そういう点でも、この本をぜひご紹介したいと思って取り上げてみました。

本書の内容

序章 そもそも骨董・アンティークとは!

まず序章では、骨董・アンティークについての基本的なことについて解説しています。アンティークという言葉の定義、日本の骨董の歴史、骨董屋が減ってきてアンティークショップが増えてきている時代の流れ、骨董が持つ価値、復刻や本物と偽物の見分け方などについて、筆者の見識が語られています。

骨董やアンティークを見るときには、「ものを見るより、人を見ろ!」という考え方が重要なのだそうです。

1章 心ときめく彩りと光 西洋アンティーク

西洋アンティークは、筆者にとって最も造詣が深いカテゴリーなので、見て選ぶときに参考になるノウハウやポイントが詳しく解説されています。

  • ガラス器
  • 陶磁器
  • ジュエリーとアクセサリー
  • 西洋人形・ぬいぐるみ
  • 銀器・銀食器
  • 時計
  • 最近人気の「シャビーもの」
  • 西洋の布とリメイクもの
  • その他の西洋アンティーク
    [コラム]マイセンの贋作

有名な産地や作家、人気のブランド、アンティークにつきものの贋作などについて。贋作が多い作品についても説明があるので、商品を探すときにも参考になりそうです。

ジュエリーについては、つくり方や材質で時代が判別しやすいということもあり、時代ごとの特徴が説明されています。

銀器・銀食器については、ホールマーク(刻印)が押されていて時代が判定できるようになっています。ホールマークに関する解説はとても興味深い内容です。

その他の西洋アンティークでは、上記カテゴリーには含まれないものの、見逃せないアイテムについて、写真付きで詳しい説明がついています。

2章 秘めた技と慈しみの心 日本の骨董

知っているつもりでいながら、意外と知らないのが日本の骨董だと思います。その中で主要な骨董のカテゴリーについて解説しています。

日本の美術品は、所定鑑定人しか鑑定書が書けない「所定鑑定制度」がある話は、プロにしか分からない知識かもしれません。

焼きものは、収集のアプローチとして、①窯元別の集め方 ②時代別の集め方 ③種類別の集め方に分類して、解説がされています。

  • 掛け軸と日本画
  • 焼きもの
  • 和のガラス
  • 漆もの
  • サンゴ・象牙・翡翠
  • 鉄もの・銀もの
  • その他の日本の骨董
    [コラム]直せるものと直せないもの

3章 骨董・アンティーク店主が 絶対に売りたくない一品

特に面白かったのは、この章です。

著名な骨董・アンティーク店主が絶対に売りたくないと思っている、特別なお宝が紹介されています。それぞれがお気に入りの1点を紹介しているのですが、迫力満点で想像を超えた素晴らしいものばかりです。いわば骨董・アンティークのミュージアムのような趣で、眺めているだけで楽しい気分になってしまいます。

4章 見て、触って、使って、楽しむ! [最新]骨董・アンティーク事情

この章では、骨董・アンティークを扱ってきた筆者にとって、長い経験を通じて確立してきた、プロとしての考え方やノウハウを紹介しています。骨董・アンティーク好きだったら、タイトルを読むだけで、これは絶対知りたい!と思ってしまうような、充実した内容となっています。

  • 買う人がいるからこを「値段」がつく
  • プロはどこで商品を仕入れるか
  • 海外で商品を買うときの注意点
  • 店の選び方・接し方、教えます
  • 「見る目」を養う方法はあるか
  • だれがこんなものを買うの?
  • 贋物を売る心理とは?
  • 失敗は成功のもとか
  • 高価なものは使ってはダメ?
  • 自慢の一品が「修正品」とわかったら?
    [コラム]ヨーロッパ「蚤の市」の穴場

5章 プロが教える!初心者のための基礎知識Q&A

骨董・アンティーク好きの初心者だったら、必ず知りたくなってしまいそうな質問に対して、筆者が答える形式で基礎知識がまとめられています。

まとめ

全体を通して見た感想は、筆者の豊かな経験に裏打ちされたノウハウが満載されているということと、骨董に対する深い愛情が感じられるということです。

決して難しいことが書いてある訳ではなく、好きで買い集めて、好きな人に手渡していくことで、好きで良いものを次の時代に伝えていきたいという気持ちが感じられます。

仕入れたからといって、すぐに売れるということはなく、大儲けできる商売でもない。それでも50年以上続けられる魅力がある、それが骨董・アンティークの世界。

そんなメッセージが伝わってくる一冊でした。

それでは、また。

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