
両国の江戸浮世絵文化の発信拠点「すみだ北斎美術館」に行ってきました!
もともとアートや骨董やデザインは好きでしたが、日本のヴィンテージのうつわに触れる機会が増えてくると、その時代の美術やアートにも興味が湧いてきます。
特に江戸時代の庶民文化、浮世絵はうつわの絵付けにも影響が大きい分野なので、大いに興味があります。東京には2016年に完成した「すみだ北斎美術館」があり、久し振りに行くことにしました
とてもユニークでクールな建築で、以前も訪れたことがあります。今回は、改めて浮世絵の世界に親しみたくなって再訪したので、レポートしたいと思います。
すみだ北斎美術館へのアクセス
「すみだ北斎美術館」は、最寄駅が都営地下鉄「両国駅」とJR総武線「両国駅」になります。その他のアクセス方法は下記のとおりです。
- 都営地下鉄大江戸線「両国駅」A3出口より徒歩5分
- JR総武線「両国駅」東口より徒歩9分
- 都営バス「都営両国駅前」より徒歩5分
- 墨田区内循環バス「すみだ北斎美術館前(津軽家上屋敷跡)停留所」からすぐ
私たちは、JR両国駅から歩いて行きました。
JR両国駅に着いて驚いたのは、駅が新しくなって綺麗になっていたこと!
2016年に改修されて、旧駅舎コンコースを活用したり、旧駅舎を意識した駅舎外装のリニューアルなどが実施されたようです。また、「-両国-江戸NOREN」という駅と一体化した商業施設が開業していました。もう8年前の開業なので、かなり昔の話題ですが。。。
駅構内には、「両国ステーションギャラリー」があったり、両国国技館側の改札口手間には、大相撲の歴代力士の巨大な写真と手形が展示されていて、「満員御礼」の垂れ幕が下がっていたり、両国らしい演出がされていました。

「-両国-江戸NOREN」をちらっと覗きましたが、帰りにに寄ることにして「すみだ北斎美術館」を目指します。
JR両国駅の北側には、「両国国技館」「江戸東京博物館」という2つの大きな施設があります。「江戸東京博物館」がちょうど大規模改修工事中のため、2026年春(予定)まで休館でした。周囲が工事の仮囲いが囲われていたので、最短ルートが通れず、少々遠回りになりました。


江戸東京博物館周囲の仮囲いを過ぎると、「江戸東京博前」という交差点に出ます。ここから「北斎通り」が東に向かって伸びています。ここから、「すみだ北斎美術館」までは、徒歩5分でした。
すみだ北斎美術館について
施設概要
葛飾北斎は、現在の墨田区亀沢の本所割下水という場所で生まれて、生涯のほとんどを墨田区で過ごしたそうです。JR両国駅の北側のJR総武線の線路に並行に、北斎通りという通りがあります。北斎通り西端の周辺が本所割下水で、そこから徒歩5分ほど東に歩いたあたりに津軽屋敷跡地の「緑町公園」という公園があり、その公園の一角に「すみだ北斎美術館」があります。

「すみだ北斎美術館」は、建築家妹島和世の設計で2016年に完成しました。
大きな1棟の建物ではなく、スリットでゆるやかに分割することによって、周辺の街のスケールとの調和を図っています。
外壁には、淡い鏡面仕上げのアルミパネルが使われていて、周囲の風景が映り込んで風景に溶け込んでいます。威圧感がなく、公園に馴染んだ建築になっていました。
建物を分割しているスリットは、地上レベルでは建物へのアプローチになっていて、外部通路として建物の四方に出入りすることができます。
公園から見ると、シンプルで軽やかなアルミの建築があって、スリットに入っていくと、中にある建物のエントランスから入館ができるようになっています。
現代的なデザインの建築ですが、自然に周囲と溶け込んでいて好感が持てます。
緑町公園から北東の方角を望むと東京スカイツリーがよく見えて、下町らしい周辺の風景と新しいランドマークが併存していて素敵でした。この公園で遊ぶ子どもたちにとって、きっと記憶に残る風景になるでしょう。


展示概要
今回の展示は、次の2つが開催されていました。
常設展+:隅田川両岸景色図巻(複製画)と北斎漫画
2024年9月10日(火) 〜 2025年8月31日(日)
北斎の肉筆画の中で最長とされている「隅田川両岸景色図巻」の原寸大の高精細複製画が展示されていました。全長約7mもあって圧巻でした。描かれている絵を見ながら、自分が知っている土地と比較するのが楽しいです。当たり前ですが、江戸時代と現在では、風景が全く変わっています。
また、有名な「北斎漫画」の実物や、北斎の絵手本の実物大レプリカなども展示されていました。手にとって見られて楽しめました。「北斎漫画」は本当に素晴らしいですね。北斎の絵師としての技量がいかんなく発揮されているように感じました。





企画展:読み解こう!北斎も描いた江戸のカレンダー
2024年12月18日(水) 〜 2025年3月2日(日)
江戸時代に大流行した、ユーモアやウィットに富んだデザインの暦、絵暦(えごよみ)を展示して、江戸時代の暦の文化が紹介されています。葛飾北斎が描いた絵も含まれています。絵暦に込められたユーモアやウィットの解説が、絵暦自体よりも目立っていて、いまひとつ展示に集中できなかったのが、少々残念でした。


ひととおり展示を見て、1階のエントランスに戻ってきました。
外観からは想像ができませんが、意外と広々とした空間になっていて、外部から通り抜けができる通路が見えていたり、外壁に穿たれたスリットから見える公園の様子も面白いです。
北斎の時代のうつわたち
葛飾北斎の時代は、うつわ文化も花盛りの頃。
せっかくなので、北斎の浮世絵の世界観にもつながるようなうつわを幾つかご紹介したいと思います。ご興味があればご覧ください。
古伊万里 色絵 金彩 深皿|Old Imari Colored and Gold Painted Deep Plate

古伊万里の色絵、金彩が施された深皿です。
ご覧のとおり、内側も外側も実に美しい色絵付けがされています。
盛り絵の具や金彩も贅沢にされており輝いています。
高台は二重高台となっていて丁寧につくられたことが伺えます。
こうした鮮やかな色彩は、北斎の浮世絵にもつながる美しさだと思います。
古伊万里 色絵 金彩 深皿(on the Buffet ショップへ)
蓋付き茶碗 古伊万里 色絵|Tea Bowl with Lid, Old Imari, Colored Painting

色合いが穏やかでブルーの色調が素敵な一品です。
金彩が贅沢に使われていますが、
意外にギラギラした感じもなく、上品な雰囲気です。
同じ古伊万里でも、うつわによって色調や絵柄などに個性があります。
北斎がうつわに描いたら、どんな作品になるのでしょう。
想像するだけでもワクワクします。
蓋付き茶碗 古伊万里 色絵(on the Buffet ショップへ)
古伊万里 染付 小鉢 松竹梅文様|Old Imari blue and white Small Bowl with Pine, Bamboo and Plum Motif

小さめの淡い色が素敵な染付小鉢です。
定番の松竹梅模様が中央に、周囲に個性的な模様が配置されています。
一番の魅力は、凝ったデザインの輪花型のフォルム。
繊細な曲線を描くリムが特徴的です。
高台まわりの蓮弁文や唐草文も見どころになっています。
染付なので、色絵のような派手さはないものの、しっとりと
当時の世相や文化を伝えてくれます。
古伊万里 染付 小鉢 松竹梅文様(on the Buffet ショップへ)
-両国-江戸NOREN
葛飾北斎の浮世絵の世界を楽しんだので、ちょっと遅めのランチをします。
さきほど見かけた、JR両国駅に併設されていた商業施設「-両国-江戸NOREN」に行くことにしました。
北斎通りをJR両国方面に向かって、西へと歩きます。

北斎通りの向こうに江戸東京博物館の建物が見えてきます。周囲の小さなスケールの街並みの上に聳え立つ建物は、まるで巨大な恐竜のようです。威圧感は強烈なのですが、歩き出しそうな恐竜のようなユニークな形に救われているように思いました。
「-両国-江戸NOREN」に着きました。
プレスリリースに書いてある施設コンセプトですが、「粋な江戸の食が堪能できる商業施設」とあります。
施設は、江戸の町屋を意識した吹き抜け空間が中心にあって、火の見櫓や原寸大の土俵が設えてあって、その周辺に飲食店が12店舗あります。もんじゃ焼き、ちゃんこ料理、鳥料理、海鮮和食など、江戸の食をイメージした店舗が並びます。


私たちは、月島に本店がある「月島もんじゃ もへじ」を選びました。
もんじゃは、魚介系と鶏ガラを合わせた出汁を使っていて、普通よりもとろみがあって美味しかったです。その分水分が少なくて焦げやすくて、お焦げ多めの仕上がりとなりました。美味しかったのは、もへじ焼きそばという焼きそば。お店の方に作って頂きましたが、自家製ソースがさっぱりとしていながら深みがある味で絶品でした。もへじに行かれることがあれば、ぜひお試しあれ。


まとめ
「すみだ北斎美術館」は、江戸の浮世絵文化を知ることができる博物館でした。両国には「両国国技館」「江戸東京博物館」も近くにあり、JR両国駅に併設された商業施設「-両国-江戸NOREN」で江戸の食文化も楽しめます。
インバウンドが盛んになってきた時代に、こういった江戸文化が楽しめる施設が集まったエリアが整備されたことは素晴らしいことだと思います。
「江戸東京博物館」の大規模改修が完成したら、江戸文化の情報発信拠点としての魅力がもっと高まるハズ。今から待ち遠しいです。
周囲には、江戸文化が花開いた時代のさまざまな史跡も多く、まち歩きも楽しいと思います。すみだ観光サイトには、こういった観光情報が数多く掲載されています。
「すみだ北斎美術館」をはじめとする江戸文化の発信拠点の両国周辺を、ぜひ一度訪問されてはいかがでしょうか?
それでは。。。