『古民藝 もりた』店主森田直さんの目利きを楽しむ!|日々、蚤の市


『日々、蚤の市』森田直(青幻舎)

『古民藝 もりた』店主森田直さんの目利きを楽しむ!|日々、蚤の市

私は、骨董が大好きで、骨董に関する本を読むのも好きです。

今回は、肩の力を抜いて骨董の愉しみを感じさせてくれる本をご紹介しましょう。

『古民藝 もりた』について

『古民藝 もりた』は、南青山骨董通りで昭和45年に開業して53年間営業していたアンティークショップです。入居していたビルの建て替えのために閉店し、2024年1月6日から世田谷区経堂に移転して営業しています。

morita.antiques

『古民藝 もりた』の店主、森田 直(もりた ただし)さんが、2015年に執筆した古民藝について書いた本『日々、蚤の市』(青幻舎)を紹介します。

日々、蚤の市 -古民藝もりたが選んだ、ちょっと古くて面白いもの。
蚤の市でみつけた暮らしの道具、320点余りを拝見! モノとの出会いを求めて45年。「古民藝もりた」の店主が蚤の市で出会った愛すべき暮らしの道具。 木目のいい板からおろし金、ちびた鉛筆、仏さままで―。 眼がよろこぶ、ちょっと古くて不思議なモノ...

もくじ

まえがきに、森田さんが扱う懐古的な香りのするモノについて書かれています。美術品でもなく、民具として括れるものでもなく、古民芸ということばがしっくりくる。。。そんな森田さんの価値観が溢れている本です。

もくじを見ると、森田さんのモノの見方がわかります。

まず、「01 素材」。

それぞれのモノの用途や機能ではなく、素材としての面白みを愛でるという見方で分類されています。「木のもの」は、木目や木としての味わいが感じられるモノ。鉄なら鉄、紙なら紙という感じで、素材の良さが感じられるモノが集められています。

次は、「02 工芸」。

ここでは、文字どおり工芸と呼べるモノが集められていますが、その分類が面白いです。「懐古の空気」では、ハイカラな雰囲気があるモノが、「ちっちゃい」では、小さくて可愛いモノが、「おもちゃ」では、素敵なおもちゃたちがといった具合。時代や国籍などを超えて、普遍的に感じられる面白さで分類されています。

「03 暮らしの形」では、暮らしに使うさまざまな道具が集められています。それぞれのモノから面白さを見出して選んで行った、そんな感じです。ここでも森田さんの感受性が生きていて、一貫した目利きの力を感じます。

「04 神さま、仏さま」では、東南アジアや日本の神仏像が集められています。同じ神仏像であっても、とても個性と面白みがあって、その神仏像を崇めていた人々の暮らしや想いを想像させてくれます。人を惹きつける力がある神仏像のコレクションです。

01 素材  
         木のもの
         鉄のもの
         紙のもの
         ガラスのもの
         石のもの

02 工芸  
         懐古の空気
         ちっちゃい
         針と糸、そして布
         おもちゃ
         型・かた
         いきものたち
         あかり
         箪笥
         敷物
         おしゃれ

03 暮らしの形
         やきもの
         容れもの
         鍋・釜
         おろし金
         BOX
         編組品

04 神さま、仏さま
         ポピュラーな神仏

ここがナイス!

店主の古民藝を見る目

森田さんが古民藝を見る価値観は、一貫しています。とにかく、自分が面白いと感じるかどうか。骨董の世界は、権威づけが欲しかったり、人が認めたものを選びたい、そういうことが多いものですが、そんな権威づけとは無縁の世界。森田ワールドといったところでしょうか。

徹底的なビジュアル重視

この本の一番の特徴は、徹底的なビジュアル重視にあります。掲載されているモノは、モノそれ自体が切り取られて、白バックの紙面にレイアウトされています。写真を撮ったときの背景はカットされているので、読者は対象物としっかり対峙することができます。そして、不自然にならないようにリアルさを感じさせる陰影をつけている念の入れようです。見ていて気持ちが心地良いんです。

シンプルな解説

それぞれの写真には、森田さんのシンプルな解説が付されています。その解説は、森田さんが入手したときのストーリーや感想が多く、感情移入して楽しく読むことができます。

ちょっとした感想

意外だったのが、解説で「大江戸骨董市で買ったもの」とか、どこで入手したかも書いてあること。普通の骨董屋さんは、どこで買ったかなんて教えてくれないですよね?大江戸骨董市などの骨董市は、一般の人も行く骨董市です。そんな骨董市で森田さんが、商品を仕入れているのが面白いです!良いモノを入手するチャンスは平等にあって、あくまでも目利きの勝負!なんですね。

文字情報が少なくて、写真などのビジュアルが充実していて、とても見やすい本なので、読むのに時間はかかりません。お店でモノを手に取って眺めていく、そんな擬似体験ができる本です。それが森田さんの狙いなのだろうと勝手に想像しています。

それでは。。。



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