アジア陶磁の魅力を知る展覧会『躍動するアジア陶磁』展レポート
今回、滋賀県の「陶芸の森」で開催される『第29回 セラミック・アート・マーケット in 陶芸の森 2024』に行ってきました。
このイベントについては、改めてレポートしますが、陶芸の森に併設されている「陶芸館(陶芸美術館)」で開催された特別展「躍動するアジア陶磁ー町田市立博物館所蔵の名品からー」についてご紹介したいと思います。
日本の陶磁器については、ある程度知っているつもりですが、日本の周辺のアジア諸国も陶磁器の生産は盛んでした。そんなアジア諸国の陶磁器の歴史を知るチャンスなので、展覧会を見てみました。
第29回 セラミック・アート・マーケット in 陶芸の森 2024
展覧会概要
特別展「躍動するアジア陶磁-町田市立博物館所蔵の名品から-」
- 期間:2024年09月14日(土) – 2024年12月08日(日)
- 場所:滋賀県立陶芸の森 陶芸館
- 主催:滋賀県立陶芸の森
- 後援:滋賀県教育委員会、NHK大津放送局、甲賀市、京都新聞
- 協力:町田市立博物館、一般社団法人甲賀市国際交流協会、公益財団法人滋賀県国際協会、京セラ株式会社
- 企画協力:AsHI
- 入場料:一般850円(680円)/高大生640円(510円)/中学生以下無料 ※( )内は20人以上の団体料金
今回の展示は、日本屈指の東南アジア陶磁コレクションで知られている「町田市立博物館」の陶磁器、ガラス工芸の作品約150点が紹介されています。
「町田市立博物館」は現在閉館中で、2027年に「国際工芸美術館」(仮称)として開館を予定しているようです。しかしながら、昨今の急激な工事費の高騰もあり、計画の見直しを求める動きもあるようです。
展示会風景
「陶芸館」は、「陶芸の森」の自然豊かで木々の緑に囲まれた起伏がある敷地の一番高い場所に建っています。
レンガタイル貼りの建物の前には、低木が植えられた緩やかな丘のような前庭があって、陶芸のアート作品が展示されています。
展示室は天井が高く、展示品もゆったりとしたレイアウトがされていて、見て回るのが快適でした。写真は自由に撮影していいので、気兼ねなく見ることができました。
第1章 東南アジア陶磁の黎明
こちらでは、ベトナム、中国、タイ、クメール、ラオスなどの作品が展示されていました。
それぞれの国で独自の陶磁の文化が芽吹いていて、興味深かったです。
第2章 淡緑と褐色の造形
9世紀から12世紀にかけて隆盛したクメール王国(現在のカンボジアを中心に栄えた)の独特の陶磁器が展示されていました。
第3章 色の競演
中国宋時代の影響を受けたベトナムのカラフルな陶磁器が紹介されていました。
第4章 多様な青磁
中国で2世紀には技術が確立していた青磁が、その後ベトナムなどの国に伝わっていきました。
中国や東南アジア各国で作られた多様な青磁が紹介されていました。
第5章 黒の表現
鉄を用いた様々な黒色を使った陶磁器が紹介されていました。
第6章 多彩の美
様々な色を用いて彩られた中国と東南アジアの陶磁器が紹介されていました。
展覧会を見て
中国や東南アジアの陶磁を、こんな形で時代を追ってみることは少ないので、とても興味深い展示でした。
他の分野でもそうですが、特に印象的だったのは、やはり中国が技術的に進んでいて、周辺諸国に技術が伝わっているということ。
そしてその技術を使って、それぞれの国で独自の陶磁の表現が花開く、そんな流れが目の前で分かりやすく、展示品と丁寧な解説で理解することができました。
意外だったのが、その中でもベトナムが中国に次いで、優れた陶磁を生み出していたということです。ぜひ近いうちにベトナムに行って、ベトナムの陶磁に触れてみたいと思います。
ベトナムといえばバッチャン焼が有名ですが、バッチャン焼を紹介している投稿があります。ご興味があれば、ぜひご覧ください。
独特の素朴な絵柄が魅力!15世紀に誕生したベトナムの伝統工芸「バッチャン焼き」
「陶芸館」を出ると、現代作家が制作した陶磁作品がたくさん並んでいました。
「陶芸の森」は、本当に陶芸三昧の楽しいスポットでしたよ。
それでは、また。。。